ソロプチミスト日本財団「女性研究者賞」受賞者による卓話がオンラインで行われました(SI東京―桜)
2021年5月、今年度私たちが推薦し女性研究者賞を受賞された、理化学研究所主任研究員の坂井南美さんに卓話をしていただきました。
坂井さんは、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻、博士号を取得され助教に就任。
二児の出産育児と両立しながら2015年に理化学研究所に入り、現在、主任研究員として
「坂井 星・惑星形成研究室」を主宰されています。
学生時代に地上の生命の進化について疑問を持ち、太陽系の起源を知りたいと考え天文学を志し、星や惑星が形成される過程における物質の進化を化学と天文学の融合した角度から研究され、2014年には国際的な総合科学誌「Nature」に論文が掲載されました。2018年には国立科学技術・学術政策研究所が選考する「ナイスステップな研究者」に選ばれました。
太陽系がどのように作られたか、その誕生過程を知ることが宇宙の全体像を理解することにつながる。星や惑星はガスや塵から成る雲の中で誕生する。その分子は固有の周波数の電磁波を出している。はるか遠くからくる微弱な電磁波を国内外の最先端の電波望遠鏡で観測し、自身が開発した装置を用いて希少同位体種の分光測定をし、検出された数百本の解析をすることで原始惑星系円盤の化学進化の解明ができると、丁寧にわかりやすくお話しくださいました。
表立った男女差別が残っていた学部生時代、妊娠期の出張の苦労、育児中での土日や夜間のメールや会議、女性が少ないために委員会仕事などが同世代男性より圧倒的に多く研究に費やす時間を取りづらいなどの困難を一つずつ乗り越え、揺るぎない信念と未来を見据えた言葉の力強さと重みが画面いっぱいに伝わってまいりました。
また、8歳と5歳の男の子の母親として七五三の記念写真に映る笑顔もとても印象的でした。
地元の小中学生に毎年講演会を行い、一般向け雑誌への執筆、国立天文台/東アジアアルマ科学諮問委員会副議長、日本学術会議連携会員など、社会貢献や学術貢献もなさり、後進の育成にも尽力されています。研究室も半数は女性とのことです。数少ない女性のリーダーとして益々のご活躍を期待しております。